【プレスリリース】子どもたちの熱中症対策に向けて 太田市内小中学校での「WBGT(暑さ指数)計測」の協力
群馬大学太田キャンパス(群馬県太田市)では、子どもたちの熱中症対策に向けて、「LoRaWAN(超低電力?超長距離ネットワーク)」による「WBGT(暑さ指数)自動計測デバイス」を開発しました。現在太田市内の小中学校では、先生方が定期的に校庭に出てハンディ型計測器でWBGTを計測し、子どもたちが屋外で活動してよいか判断しています。もし職員室からリアルタイムでWBGTを見られるなら、子どもたちの安全確保と先生方の負担軽減に大いに資することになります。
「LoRaWAN」は、通信速度は遅いものの、電波が届きづらい山中、電源がとれない田んぼの中、校庭の片すみなどで、様々なセンサとやりとりできる通信規格です。センサは一度電源を入れれば数年間稼働する超低電力です。西田進一助教を中心とする太田キャンパスITチームでは、LoRaWAN温湿度計データからWBGTを算出するアルゴリズムを独自開発、任意のPCやスマートフォンからWBGTをリアルタイムでモニタリングできるほか、その値が危険値を超えると先生方にアラートメールを自動配信する機能も持たせました。このたび太田市の全面的なご協力で、この「WBGT自動計測デバイス」を太田市内全小中学校へ配布することができました。LoRaWANの特徴の一つであるスケーラビリティ(大規模化)と広域化の容易性を最大限に活かし、システムのフルクラウド化によるレジリエンス(強靭さ?耐性)の強化を図りました。これらは日本最先端クラスのデジタル県を目指す群馬県にふさわしい取り組みであり、私たちは世界に先駆けたスマートシティを目指していきます。群馬大学の研究リソースが、安全に暮らせるまちづくりに少しでも貢献できれば幸いです。
1.本件のポイント
- 本事業は、「群馬大学と太田市の相互友好協力に関する包括協定書(平成19年2月19日)」に基づき、太田市、ものづくり研究機構、群馬大学太田キャンパスの連携によって実現しました。
- 超高速?超大容量通信「5G」の対極にあるのが、超低電力?超長距離通信ネットワークの「LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)」です。「5G」基地局が1機約1億円で通信距離百メートル程度なのに対し、「LoRaWAN」基地局は1台約10万円で10km先のセンサとも通信可能です。
- 通信速度は遅いものの、電波が届きづらい山中、電源がとれない田んぼの中、校庭の片すみなどで各種センサが使用可能になります。一度電源を入れれば数年間稼働する超低電力です。
- 1台の基地局で数千個のセンサと接続可能です。大量のセンサを広範囲に配置可能であり、極めて低コストでありながらスケーラビリティに優れます。
- 総務省関東総合通信局「地域デジタル基盤活用推進事業」に採択され、総務省と太田市の支援により市内に基地局20機(太田市17機,群馬大学3機)を整備しました。いまや太田市内全域をカバーするネットワークが構築されています。
- 本事業では、独自のサーバを置かずすべてのデータをクラウド処理することで、自然災害を含む様々な障害に対するレジリエンスを高めています、
- 本事業では、温湿度センサのデータからWBGTを算出するアルゴリズムを独自開発しました。WBGTが危険値を超えるとアラートメールを配信する機能も付与しました。太田市内であれば、ただ置くだけで、人に代わってセンサが休まず計測を実施してくれます。
2.本件の背景
令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、「WBGT28度以上または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業を対象として死亡に至らせないための適切な対策の実施」が必要となりました(※1)。今年も6月から酷暑が続いています。熱中症対策のための「環境省熱中症予防情報サイト」がありますが(※2)、広域データのためあくまでも「目安」です。ピンポイントかつリアルタイムでの情報提供が大変重要となります。LoRaWANは、これまで人間が多大の労力を費やして行ってきた作業を、広域に配置された膨大な数のセンサによる自動監視に置き換える画期的な技術です。群馬大学太田キャンパスでは、太田市との連携を深めながら、安心して暮らせるまちづくりに向けた取り組みを推進してまいります。
(※1)https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2025-0418-7_pamphlet.pdf
(※1)https://www.mhlw.go.jp/content/001476823.pdf
(※2)https://www.wbgt.env.go.jp/graph_ref_td.php?region=03&prefecture=42&point=42266
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本取り組みに関するお問い合わせ先
国立大学法人群馬大学 桐生地区事務部事務課 庶務係(広報担当)
TEL: 0277-30-1895
FAX: 0277-30-1020
E-mail:rikou-pr★ml.gunma-u.ac.jp(★を@に変えてください)
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